春美ちゃんのカン違いのわけ




「あなたが…真宵様の思われビト」


なるほどくんでなくても赤面するような台詞をぽんぽん言ってくれる春美ちゃん。なんでか真宵となるほどの仲を誤解しているようですが…謎です。
真宵ちゃんの言葉を聞いてみるに、真宵ちゃんが実は密かになるほどくんにラブラブでそういう風に話した…というわけでもなさそうだし。
真宵ちゃんはなるほどくんと一緒に事件を解決したという話は春美ちゃんにしたでしょう。倉院を出たことのない春美ちゃんは、その話を目を輝かせて、何度もねだって聞いたかもしれません。しかも殺人事件だしね!テレビくらいしか娯楽のなさそうな倉院では、火曜サスペンスのような出来事を実際に経験してきた真宵の話は、大フィーバーを巻き起こしたでしょう。
そうこうするうちに、自分の活躍を真宵ちゃんがちょこっとばかりオオゲサに言うことになっても、まあ、不思議じゃないでしょう。釣り自慢の釣った魚がどんどん大きくなっていくようなものです。

しかし、何故、真宵の言ってもいないらぶろまんすが勝手にひとり歩きしたのか…。
それを考察していきたいと思います。

そのいち。邪推説
二時間ドラマでも、主役のオトコとオンナが二人組でいたら「いつくっつくんだろう」という視聴者の興味にさらされるでしょう。いや、二人組の場合は、もともと恋人設定というのが多い!
それの延長上で、真宵と真宵の話に出てくる『なるほどくん』はきっと、いいナカに違いない!と誤解された。
ま、ありえそうな説ではあると思います。私や私の周囲を省みるに、ちょっと仲の良い男女がいたら『いや、あれはつきあってるよ!』『ただならぬ仲に違いない!』と騒いでハタで楽しむ…ということはザラにありますし。


そのに。邪推+謀略説
ちょっと生臭い話になりますが、そのような邪推が通りやすい関係に真宵となるほどくんを位置付けて…謀略をかました人間がいるかもしれません。

16歳の少女が7歳年上の男のところに転がり込んで帰ってこない
…おお、こう書くと何だかとってもいかがわしい香りがしますよ!ナツミさんじゃないけど、どんなスキャンダルでも作り出せそうな気がしてきます。
例えば、こんな噂なんてどうでしょう。

「次期家元ともあろうお方が、里も修行も放り出して、オトコのところに転がりこんで帰ってこないなんて…千尋さまのことで傷ついていらっしゃるのはわかりますけれども、自覚がないのではござあませんでしょうか?」

そう、私が疑惑を抱いているのはキミ子さんです。キミ子さんは、真宵を家元にしたくない…春美ちゃんを家元にしたいわけです。
もちろん、表だっては何もできません。「慈悲深く本家を思う伯母」の役割を注意深く果たしているはずです。
でも、苦言を呈する、という形で情報操作はできる…。里の人たちが、真宵に対して疑念を抱けば、真宵の評価が失墜すれば、キミ子にとっては万々歳なのではないでしょうか。春美は倉院の箱入り娘で、霊力も高く、修行もきっちりとしている。それにひきかえ真宵様は…と、言外に匂わせて。
つまり、男女関係うんぬんより、『修行を放り出して』というところが重要なポイントだったのだと思うのです。

しかし、春美ちゃんは、真宵のことを慕っていますし、まだ幼い。下世話な勘ぐりとは無縁です。
だから、この噂が彼女の中で、「傷心の真宵を全身全霊で支える恋人との美しい恋物語」に変換されていても不思議ではないでしょう。

だからこそ、春美ちゃんは成歩堂と真宵の仲をカン違いしたのではないか、と思うのです。そして、倉院の女性たちに、そして自分の家族にまつわる男と女の悲しいすれ違いをおぼろげに知っている彼女だからこそ…成歩堂の真宵に対する全き好意による尽力を、美しい恋愛物語にしておきたいのかもしれません。
彼女もまた、幼いからこそでしょうか、信じていたいのではないでしょうか。この世に、綺麗な恋愛というものが存在するということを。






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