メイムチ(2・3会話ネタバレ)



「狩魔検事のムチが不気味にうねうねしているぞ」


冥と言えばムチ。ムチと言えば冥。
というのはまあ自明の理ですが(日本語の使い方が変)、そのムチについての考察をちょっとしてみたいと思います。
冥ちゃんのムチの犠牲になった人間は数知れず。まずはイトノコ、成歩堂、サイバンチョ、証人たち、真宵ちゃん、御剣。
逆に彼女がムチを使わなかったのは、春美ちゃん、千尋さん、そしてゴドー検事。
その分水嶺はなんなのでしょう。

先日、掲示板にりせるさんがこう書いてくださいました。

冥ちゃんが鞭でぶつのは、年齢職業関係なく、迫力の問題じゃないでしょうか?

これを読んで、なるほど!と思いました。私も心の中でなんとなく感じていながらそれを言葉にできかねていた部分を、しっかりと文章にしていただいてありがとうございます。
迫力の問題・・・言われてみればそうかもしれません。となると、サイバンチョ、ますます悲しいですな(笑)。まあ、ゴドーさんに、「裁くのは、オレだぜ!」とか言われちゃってる時点で、こう、威厳がないような感じもしますが。中々いいヒトだとは思うのですが、組し易そうだと検事陣に思われがちなのでしょうか。
となると、春美ちゃんはともかく、千尋さんとゴドーさんは、冥ちゃんの中で、叶わないと思うほどの迫力があるのでしょう。年齢的にもかなり離れているし、なんだか能力もありそうだ、これは迂闊に手を出せない…さすがの冥ちゃんもそう思ったのかもしれません。
そして、証人でただ一人、ムチを受けていないのがジューショクさまこと、ビキニさん。
彼女に対しては敬老の精神が働くのか、それともビキニさんの大らかで寛容な性格に対しての敬意か…彼女は結構ビキニさんに礼を尽くしているように見受けられます。


それにしても彼女のムチの使い方は、結構、いやかなり理不尽です(笑)。
イトノコは八つ当たりの上ねぎらいのムチまでいただくし。サイバンチョや証人陣は相槌のように叩かれるし、流れムチを喰らうし。成歩堂は言うまでもなく、ムチでつっこみを入れられるし、真宵ちゃんにいたっては登場時の景気づけに叩かれる始末。イトノコの証言では、警察署内でもムチの犠牲者は多数いるらしいし(ムチの音が絶えない、と言っていた)。はっきりいって周りの人間にとってはやってらんねーや!ってとこでしょう(笑)。
特にイトノコ刑事は一番被害にあってますね。登場時の景気付けに数発(笑)、ミスした時には必殺鞭の舞(そんな技ありません)、そして八つ当たりにくらえ!鞭乱舞(そんな技もありません)。
同じく、りせるさんがイトノコさんって、冥に名前さえ呼んでもらってないんですよね〜虐げられてるなあ。と書いてくださっていたのですが、確かに(笑)。これも同じく迫力のなさがなせる業なのかもしれません。
そして、こう、2のイトノコに対する冥の態度っていうのは結構ひどいですね。信頼がない。
発信機をつけられたのも、信頼がないからではないでしょうか。なにしろ冥ビジョンにおいて敵であるはずの成歩堂くんに情報は垂れ流しまくりだし、結局は冥の知らないところで御剣と通じていたわけだし。
イトノコにしても、年齢的なことや性別的なことで冥に対して甘い、というか心遣いをしている面もちらほら見受けられるのですが…それは13歳の時からオトナたちと競うようにして生きてきた冥にとっては、むしろ腹立たしい反応かもしれません。
だからこそ、冥はイトノコに対してきつく当るのでしょう。イトノコが彼女を思いやるが故に、いらただしく感じてしまうのです。「こんなバカなオトコにまで」一人前として扱ってもらえていないことに。
そして、イトノコの御剣に対する盲目的なまでの信頼や尊敬もきっと知っていることでしょう。御剣は信頼し尊敬していたのに、私に対してはそうではない…それならば、このムチで畏怖させてやる…そう思ったのではないでしょうか。北風と太陽でいけば、北風流ですね、メイちゃん。
そして、成歩堂。彼は彼女ビジョンではカンペキに『敵』なので容赦ないですね(笑)。何回たたかれたかなんて回数数えたら多分、卒倒しますよ。裁判があった日は傷だらけですね、なるほどくん(笑)。2の真宵ちゃんも成歩堂と一緒にいる以上、敵認定なのでしょうか。それとも同じ年齢ということで遠慮がないのでしょうか。彼女に対するムチが一番理由がなくて理不尽(笑)だと思います。

「み、身を切るような・・・・ムチがあ・・・・」

そんな中、彼女に対する身近さと接触頻度に比べて、単位時間あたりの(笑)ムチを受ける回数が極端に少ないのが御剣です。
2では0回、3では2回+α(法廷パートで間違った時にくらう箇所が一箇所ある)。
これは前述の人々と比べても、驚異的な少なさと言えるでしょう。
また、1度目のムチは、まあ、解釈はわかれるかもしれませんが、理不尽とまでは言えず、2度目はカツを入れるという点で効果的な使い方をされています。御剣も文句は言えないでしょう。
しかも、3の地震直後では、話を渋る御剣に話を促すためムチを・・・成歩堂の方に使っていたりする(笑)。これは同じく3でゴドーさんの言葉に言い返せなかったときに、成歩堂にやつあたりムチを食らわせたのと同じような流れです。
つまり、冥は御剣に対してはかなり、ムチの使い方に気を使っていると考えられるのでは。

ここからは私の勝手な推測です。(ムチではなくクチでものを言え!)となるほどくんも思ったみたいですが、おそらくなるほどくんが心の中で思っただけだったのとは逆に、御剣がそれに類したことを口に出して言ったことがあったのでは。おそらく痛烈な皮肉とともに。
「クックックッ・・・・(ここで例の手を広げて肩をすくめるポーズ)全くお話にならないな。ムチにものをいわせようなどと。狩魔冥、それはつまり私には口ではかなわないと認めているというのかね?まだまだだな、キミは」
とか。
まあこんなこと言われたらそりゃ復讐の炎も燃えたぎるっちゅうハナシだヨ(オバちゃん風)。
つまり、彼に対してムチを理不尽に使うことは、彼に口で反論できない、つまり論争で自分が負けた、ということを認めてしまうことになる。そういう関係が作り上げられているからこそ、彼女は御剣にムチを使う時には気を使うのではないか…と思うのです。
実は、もうひとつ思いついちゃった説もあるのですが・・・御剣にムチをふるったところ見切られてエモノを奪われたあげく逆にやりかえされて痛い目にあったとか。まあしかし、ムチを持った御剣という想像は、何と言うかハマリすぎというかむしろヤバい方向に話が行きそうなので、この説はなかったことに(笑)。


冥にとって、ムチというのは、オトナたちの間で働いていくために、自分を鼓舞するための道具だったのかもしれません。相手を威圧する道具であり、自分の心の支えでもある…。
そう、それはむしろライナスの毛布のように、彼女の心の支え、心の安定に不可欠なものなのでしょう。

なんというか、心の支えにするにしては、えらく物騒なものだけど…。






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